旬彩もろきち

料理研究家や料理人、料理を愛する人のために、食の魅力や食文化の知識を発信します。また、飲食店経営のための経営学的知識や、ワンランク上の料理をするための科学的知識もあわせて紹介します。

Astrid y Gastón デグスタシオンコース

ペルー料理 小さな料理人の食探訪より

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ペルーの食探訪にて訪問しましたアストリッドイガストンの料理を紹介します。

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エントランスは白一色。シンプルで威厳のある佇まい

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天井から"吊るされて"いる観葉植物はなんとも幻想的。15人近くの厨房スタッフが働いているそう。

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【MUCHAME Y BOTARGA】

デグスタシオンコース一品目。削いだ魚の肉を乾燥させたもの(カヤオ地方の郷土料理)にカラスミが乗っています。ジャイアンビーンズやアボカドのサワークリームと合わせたものを、白いクリスピーな生地に乗せていただきます。

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【CHILCANO DE PESCA DEL DIA】

燻製した鮮魚の頬肉を作ったスープです。澄んだ見た目をしていながら極濃の旨みが詰まっていました。
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【TOMATES DE ESTACIN】

トマトのマリネ。緑色はレタスのソースやパクチーオイルを使っています。繊細なトマトの酸味と苦味が印象的でした。
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【CONCHA RAYADA EN SU SALSA】

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【ALMEHA DEL SUR CON CHALACA Y CULANTORO】

貝を使った2種の料理。ぷるんと冷たい身を口に入れる新感覚…!小さなディルみたいな葉はパクチーの一種だそうです。
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【ESPARRAGO BLANCO CON BOTARGA Y MASATO】

発酵ホワイトアスパラの料理。アマゾンの伝統酒である口噛み酒マサトのソースが掛けられている。活性炭を使った飾り付けの白と黒のコントラストが美しい…!

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【CEBICHE DEL NORTE】

ペルーの代表料理のセビーチェを一風変わった緑のマリネ液で。緑の色付けにはレタスのソースやパクチーオイルが使われているようです。夏にぴったりなピリッとした唐辛子のアクセントも素敵。

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【CRAPLCRA DE VONGOLE】

貝を使ったカラプルクラ。乾燥芋を煮込んだ料理です。ふんだんに貝の出汁を吸い込んだほっこり落ち着く料理でした。
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【TAPADITO DE PATO】

煮込んだ鴨肉とミキサーにかけたとうもろこしで作った生地を加熱し、薄いクレープ生地で隠した料理。アマゾンのタマレスというペルー風ちまきをモチーフにしているようです。

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【CODORNIZ DE CHACRA CON AJI NEGRO Y PALLARES】

日本をイメージした料理「ウズラの照り焼き」。焼き鳥を思わせるような味付けはなんだか日本を懐かしくさせてくれました。ソースには唐辛子を乾燥させて作ったアヒネグロという旨みの強い素材が使われています。

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【SUDADO】

「汗をかかせる」という意味のスダードは、魚を出汁の中でしっとり茹でるようにして作られます。

これまた魚の旨みがしっかり感じられる一品でした。
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【FESTA DEL CUY】

クイは天竺鼠ともよばれるモルモットの仲間で、ペルーでは祭事に食べられるそう。観光ガイドには必ず載っている有名料理ですが、アタリを選ぶのも大変。ここのクイは言うまでもなく美味でした。

コスタ、シエラ、セルバというペルーの3つの気候区分を代表するソースを掛けていただきました。
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【RASPADILLA DE UVA BORGOÑA】

ウバ(ブドウ)を作ったシャーベット。オレンジ色の巨大な氷を、目の前のかき氷機で削ってくれました。

パフォーマンスまで含めて楽しませようという気持ちが伝わってきました。

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ODA AL HIGO】

ヒゴというイチジクの仲間を使ったデザート。凍結乾燥した冷たいパウダー、ヒゴの実そのものと、同じ素材の異なる食感を同時に楽しめます。


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【COPOAZU VS CACAO】

言わずと知れたカカオとクプアズという同じく熱帯雨林でとれるフルーツを使ったデザート。それぞれの持ち味が一つの皿の上でぶつかります。

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コース料理を食べ終えて満足してメモしていると、ウェイターから「とっておきのサービスがありますよ!」と一声。アストリッド監修のチョコレートを詰めた宝石箱の中から好きなものをチョイス。ペルーの国を象ったお皿に、並べていただきました。

これでもう大満足!

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エントランスに座っている可愛いアルパカでおしまい。見ていただきありがとうございました。

 

南米NO.1のレストランCenral

ペルー料理 小さな料理人の食探訪 より

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ペルーのアートの街バランコに佇む世界で注目を集めるレストランCentralの料理と館内の写真をご紹介します。

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エントランスに入ると同時にスタッフから館内を案内していただきました。

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研究室を思わせるサンプルと実験器具の数々。美食とは常に進化していくものであるという思いを感じずにはいられません。
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円盤状のメニューにはタイトルと共に標高が記載されています。同じ土地の同じ標高でとれた食材を使って1品を仕上げるというこだわりの強さには脱帽。

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【Red Rocks】

黄色のリュウゼツランのピュレは一口でいただいた。中からとろり流れ出る酸味のある液体はペルーのサルサクリオージャによく似た味わい。

カメノテを使った料理(下)はチーズケーキを彷彿とさせるように柔らかくて甘い。予想の斜め上からの美味に感動しました。

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【Desertic Coast】

ツナと呼ばれるウチワサボンの実を使ったパフのような食感のアイス(右上)と、ユヨという海藻を使った料理(下)。黄色いフィルム状の料理は花から採ったエキスを固めたものだそう。
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【High Altitude Farmland 】

マシュワという芋を使った料理。マシュワには黒と黄色のものがあり、黄色のものをフィルム化し、黒マシュワから作ったソースを合わせている(右)。中央はマシュワで作ったバターが入ったフィンガーフード。左の料理にはマシュワのバターにアヒルの煮込みを合わせたもの。

ところで、マシュワは加熱しても生のままでも食べられるそう。アンデス高地ではるか昔から重宝されていたらしく、栄養価も高いとのこと。

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Amazon River】

パイチェという4Mを超える巨大魚(ピラルク)を使った料理。コップに入っているのはそれからとった出汁(ペルーでは魚のスープはチルカノと呼ばれる)。中央の料理には乾燥させたピラルクのパウダーをふんだんに振りかけてもらいました。

左の"アイスクリームの豆"とも呼ばれるパカエのワタは甘くほどけるような口当たりでした。

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【Upper Jungle】

DaleDaleという木はアマゾン上流域で食されており、その根は黄色くトウモロコシのような味がするんだとか。そのバターにパンを付けてお召し上がりくださいと言われたが…パン…。

濃い方のパンにはサチャトマテと呼ばれるトマトが使われているらしい。


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【Sea Trrain】

 SARGASSUMという植物で味付けされたイカと、HUARANGOは調べたところイカ地方のオアシスに生育する樹木で、は

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【Waters of The Desert】

 ロチェというカボチャのチップスが印象的な一皿。アボカドとウニのソースで味付けされていました。

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【Extreme Altitude】

高度4000m以上の高地では生育可能な植物はかなり少なくなります。キウィチャはそんな環境でも栄養豊富な種子をつける不思議な穀物。葉っぱも食べられます。ペルーではおなじみのチョクロという白いとうもろこしや紫色のとうもろこしのソースと一緒にいただきます。

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【Mil Moray】

 おそらく世界一美味しいであろう"焼き芋"。オカというクスコ地方近辺の芋を粘土で包んだ後に焼き上げています。ノミを使って焼け固まった粘土を割ると、中から自身の水分でしっとりと蒸しあがった甘いお芋さんが現れます。

ワカタイ(ブラックミント)のソースをつけていただきました。

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【Amazonian Lake】

迫力満点のピラニア料理。赤と紫というグロテスクな色付けでありながら、中身は焼き菓子のようなふっくらした白色。

手前は、ココナというフルーツとユカを使ったムース様の料理でした。ピラニアの骨を使った料理だそうです。

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【Marine Valley】

 「巨大な」という意味の名前をもつカボチャの下にホタテが隠れています。ピンクのひものようなあしらいは、海藻から作ったものだそう。

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【Plain Forest】

 茶色の部分はアマゾンの川海老で、白い部分はセシナ(セシナは豚肉を乾燥させて作った伝統的なベーコンのような料理)。

いずれもエスプーマという手法によって泡状に調理されている。

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【Andean Woods】

 羊肉の煮込み。上にパラパラとあしらわれた白い針状のものはオユコという。

オユコはジャガイモとゴボウの中間のような食感で、独特の香りがある。

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【Amber Forest】

 チーズで包まれたヤーコンの上に、コーヒーフレーバーのフレークが乗せられています。

 

本来であればこれから後2つの料理が続くはずだったのですが、少しづつ食べてはメモを取ってとゆっくりしすぎたせいで時間切れになってしまいました…(´;ω;`)

厨房の皆さんと写真を撮れたので良しとするか。。。

 

ともあれ食の開拓者としての心意気を五感を通じて感じられました。

地球の反対側まで、そうそう簡単にはいくことはできないけれど、コース16品を制覇しににまた来ます!

 

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クラウドファンディングで行った、ペルー料理の調査をまとめた本を出版しました!

詳しくは下記URLからご覧ください!

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オンラインでビール醸造所見学:YYGのビールたちと共に

こんにちは、Kindle執筆中のmorokitchです。とうとう社会人になったものの、リモートワークの日々でなかなか実感のわかない日々を過ごしておりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて、コロナになってから外出機会が減って、飲食小売業界が青息吐息なのはご存知のことでしょう。そんな中、東京に来てから知り合った七つの顔を持つ仲良し社長(情報量過多のため詳細割愛)からお誘いが。

「今度私の友達がHOPPIN’ GARAGEっていうクラフトビールのオンライン飲み会開催するんだけどmorokitch君も参加しない?」

 

自粛をものともしないイベントの底抜けな明るさが気になり、送っていただいたリンクを早速タップ。どれどれ内容は…?

  1. クラフトビール三種をご自宅にお届け!
  2. 醸造所のオンライン工場見学あり!
  3. ブルワーのインタビューあり!
  4. 全てこみこみで3,500円(今回は紹介クーポンで500円引き)!

ほん、ええやん。二つ返事で「参加します!」と応じて今日に至ります。

 

そして、一昨日届いたのがこちらです。

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正直なところ、お酒は日本酒派で、すぐにおなか一杯になっちゃうビールはそこまで…というタイプだったのですが、いざ届くとテンションが上がります。

そして、何より気になるのがこのイベントの形式。未だかつてこんなにオープンなzoom醸造所見学などあったでしょうか?今のご時世ならではの新形態。いわば、酒体験の最前線に来てしまったわけです。

 

三種のクラフトビール付きオンライン飲み会

買い出しと料理は結局間に合わず、開始1分前に滑り込みログイン。今日のスケジュールが表示されていました。

 

15:50~入室可能
16:00~乾杯・挨拶
16:10~醸造所見学
16:30~ブルワー様インタビュー
16:50~質問コーナー

 

まもなく、主催者のオハさんから

「ではでは皆さま喉が渇いた頃だと思いますので、そろそろ始めてまいりたいと思います!」

と元気のよい挨拶が。ビデオオンで参加している方の笑顔や笑い声が聞こえ、チャット画面には「待ってました!」と書き込みがされたり。参加者は30名。男女半々くらいで既におつまみを摘まんでいる人も。同時に送られてきたビールを開栓して画面に向かって乾杯🍺この雰囲気も面白い…!

 

まずは主催のオハさんからご挨拶が。彼は株式会社Kitch Hikeのアンバサダーで、クラフトビールの良さを広めていきたいという思いで頑張っているそう。

Kitch Hikeは2013年創業の会社で、美味しさを「美味しいものを食べる」と「美味しく食べる」の二つに分類し、後者の方法を多くの人に知ってもらおうというビジョンがあるみたい。今回のコロナ騒動に際して#勝手に応援プロジェクトと称し、飲食店向け前売り券の販売やこういったオンラインイベントを開催しているようです。

詳細はこちらで↓

kitchhike.jp

 

サクッと挨拶を終えて、今回の主役たる遠藤さんにバトンタッチ。

ビールの原料である「水・ホップ・麦芽酵母」の説明を簡単にしたのちに遠藤さんはおもむろに席を立ちます。

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キリンHPよりホップの写真。見たことない人多いよね

 雑談:ホップの新芽は松茸に勝るほどの高級野菜らしいです。自分でホップ育てちゃった人の面白いブログ見つけたので共有しておきます→https://otokonakamura.com/hopshoot/

 

YYGの醸造所見学

「あ、室内なんだ」

思わずひとりごと。ちゃんとミュートかけていて良かった(笑)

それもそのはず今回見学させていただくYYGさんは、新宿駅から徒歩圏内に醸造所(1F)とビアキッチン(7F)を構えるいわば都会のブルワリー。日々のビアキッチンでのサービスに加え、新しいビールの開発にも余念がないワクワクの詰まったお店です↓

www.yygbrewery.com

 

さっきまで配信していたテーブルからほんの20歩歩いたところに醸造マシーンが並んでいました。清潔な室内にピカピカな機材…。

クラフトビール醸造所と言えば去年、京都の平和酒造さんにお邪魔したことがあるのですが、そこでは昔ながらの大きな蔵で作っていました(元は酒蔵ですからね)。広さといいモダニティといい、知っていた醸造所のイメージと正反対だったので驚きました。

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ちょっとzoomの画質が荒いのはお許しください。製造工程はざっくり下記のような感じです。 

  1. 粉砕抽出:麦芽を粉砕して粉にしてお湯に溶けやすくする(ここの規模の機械だと一回当たり80キロの麦芽を投入するんだそう)。★写真左上の樽型コンテナ参照。
  2. 麦汁吸出し:この機械の中は二層構造になるらしく、麦芽を境に上下二つの層を作るんだとか。下層からビール成分をたっぷり含んだ麦汁を吸い出します
  3. 煮沸消毒:吸い出された麦汁は煮沸タンクに移されます。加熱することで消毒・殺菌を行います。また、麦芽のタンパク質を凝固沈殿除去して上澄み液をクリアにする効果もあります。★写真上中央参照。
  4. 香り・苦味付け:この段階でホップを少量加えることで香りや苦味が麦汁につきます(こんな機材のない大昔は除菌効果のあるホップが必須素材だったそうな)。
  5. 定温発酵:じつはこの段階では糖分が入っているので甘~い状態。これを発酵タンクに入れて20度前後にしながら4,5週間発酵させる。★写真上右参照。


「発酵はこれで5日目くらい。そろそろいい感じなので出してみましょうか」
手元のスプレーでアルコール消毒して、丁寧な所作でグラスにビールを注ぎます。★写真左下参照。

ビールは菌の影響が出やすい繊細な飲料。あらゆる場面で、必ず消毒してから機材に触っているそう。もし、雑菌が入ってしまうと酸っぱくなったり臭くなったりしてしまうらしいです。あいにく画質の関係で液の状態は見えませんが、5日目だと酵母が液体内をふわふわ浮いている状態だそう。
「糖分の量を量ってみましょうか」
遠藤さんはメスシリンダーにビールを移し替えて(たぶん)バネはかりを浸して比重の測定を実演してくれました★写真下中央参照。
結果は、1.050(g/mL)→1.010(g/mL)

(遠藤さんは「50から10くらいになっていますね」と言っていたので、この業界では水の比重との差し引きmg/mL単位で糖分量を量るんでしょう)

簡単に言うと、50あった糖質の内40が酵母に分解されてアルコールになりましたよというニュアンスです。(・_・D フムフム

この段階ではほぼ発酵は終わっているらしく、あと2,3日寝かせることでずっと味が落ち着くそうです。一週間でそれらしくなっちゃうんですね。
出来上がったビールはケグというタンクに移して、飲食店に出荷されます。最後に、うちだとこんな感じで飲めますよ~と、壁に刺さったサーバーを見せてくれました。★写真右下参照

これは醸造所の特権!「壁サーバーうちにほしいです!」との声もありました(笑)

 

おもしろQ&Aタイム

席に戻ってお待ちかねのQ&Aタイム。

オハさんの用意した質問とフリー質問に対して遠藤さんが答えてくれます。

 

ビールの美味しい飲み方は?

遠藤さん「グラスで飲むのがいいね。種類は何でもいいよ。使い分けるならこの二つかな」と、画面越しに二つのグラスを見せてくれました。

  • タンブラーのグラス:のど越し・シャープさが際立つ
  • チューリップ型のワイングラス:香りが際立つ

遠藤さん「バランスのいいペールエールはどっちのグラスでもいいよ。あとは、ビールの個性に応じてグラスを使い分けてみてください。これもまたビールの面白いところの一つだね」

 

ビールとおつまみのペアリングは?

オハさん「先ほど皆さんにzoomアンケートをとったりしましたが、どれが一番あうんですか?スパイシーチキンナゲットなんていう声もありますけど」

遠藤さん「スパイシーチキンナゲットとかは面白いね。肉汁の旨味と麦芽の旨味の相性がすごくいいんです。軽めで白ワイン似のペールエールやどっしり濃いめのアンバーエールと合わせたりね。」

オハさん「へぇ、なるほど!」

遠藤さん「肉の種類に応じてビールを変えるのもまた面白いですよ」

遠藤さん曰く、スパイスに苦いビールを合わせると、苦味がブーストされるので、辛い料理には刺激の弱いビールをあわせるのがベターだそう。また、辛味がないのであれば、料理とビールの系統をそろえるもの常套手段らしい。例えば、寿司やサラダは軽めのビール。しっかり火の通った豚にはペールエール。レアに火入れした赤い肉や、とんかつはアンバー(今回紹介した中で一番濃いめ)を生かすといいとのこと。

 

遠藤さんの思う美味しいビールは?

遠藤さん「え、これは他社さんの出しちゃっていいんですか?」

冗談交じりに笑いながらもう既に席を立ち始めています(笑)オハさんが場をつないでいると嬉しそうに缶を握って戻ってきました。

遠藤さん「事務所のOKが出たので紹介しますね」

オハさん「あれ、確認の様子は見えなかったですけど(笑)」

紹介されたのは、アメリカの東海岸のバーリーオーク社が作るJREAM(ジェリーム)。美味しいサワーを作ることで有名な会社で、もちろんJREAMはサワーエール。酸っぱくて炭酸が心地よく、バニラやナツメグの香りがする。プエルトリコでクリスマスに飲まれるというラム酒を使ったカクテル「コキート」にインスパイアされた銘柄だそう。

オハさん「YYGさんのビールの中だとどれが推しですか?」

遠藤さん「3本の中ではIPAが好きかな。バランス型ならペールエールだね。ブラッシュアップで失敗することもあるんだけど、今回はすごくうまくできた自信作」

 

クラフトビールと大手との違いは?

オハさん「いわゆるその、A社さんとかK社さんとかS社さんみたいな大手のビール会社と、YYGさんみたいなクラフトビールの違いって何なんでしょうか?」

遠藤さん「資本力ですね(即答)」
(zoon参加者爆笑)

オハさん「(大きく笑ながら)まぁ、それは確かにそうなんでしょうけど、斜め上からの答えですね」

遠藤さん「まぁそうだね(笑)、ビールの歴史の話になっちゃうんだけど、始めのビールはエールだったんです。1600年代とか交易するようになってから知られるようになりましたね。ところが、ある日を境にラガーに代わる。たくさん作って皆に飲んでもらおうという思いでそれはたくさんのビールが醸造されました。設備に投資すればするほど安く作れます。例えば、色んな研究をしているA社さんなんかは美味しいものを作れますよね。美味しいものをしかも同じ均一性で届けられる。その一方で、僕らに何ができるかというと、この小さい醸造所で作れるビールの多様性をできる限りに伝えることかな。お客さんに『こんなビールがあるんだ』みたいな新しい発見を伝えたいですね。」

冗談からのこの切り替わりの速さに、遠藤さんのプロ意識を垣間見たというか、すっかり感心してしまいました。いいお話が聞けた。オハさんナイス質問です!
オハさん「多様性といえば、来週から販売用のビールが4種類になるらしいですね。それに、今はもう飲めないけど杏仁豆腐のビールをやってたりとか」

遠藤さん「ほかにも苺とか柚子を大量に使ったビール、植物的な香りを目いっぱい生かしたボタニカルなビールなんかもやりましたね」
オハさん「いや、YYGは色んな特色があって面白いです」
遠藤さん「発見が売りだからね。ビールの美味しい美味しくないには個人差があるから、ここにきて自分に合うビールを見つけてみてください」

 

そしてここからは参加者からの質問タイム。マイクを解除して質問される方、チャットに質問を書き込む方、そのなかから4件ほど質問が取り上げられました。

 

結構度数の高いビールってありますよね?

遠藤さん「9%はよくありますね。インペリアルIPAやダブルIPAは9~10%あたりがそのくらいですね。インペリアルと名前の付くものは総じて度数が高いですよ。他にも13%なんてのもあるけど、それ以上になると競い合いの世界になりますね。なんなら53%のビールもあったりしますよ」

オハさん「そんなに度数の高いビールがあるんですね。度数を上げるには麦芽を増やせばいいんですか?」
遠藤さん「そう。あとはアルコールをたくさん作れる酵母を使うとかね。でも、それにも限界があるから他の方法をとらなくちゃいけない。伝統スタイルでいうと、ドイツのアイスボックでは、ビールの水分だけを凍らせてアルコール成分だけ取り出すといった方法でアルコール度数の高いビールを作っていますよ」

 

美味しいビールを作るには?

遠藤さん「うーん、こころ、パッションだね(笑)」

オハさん「精神論ですね(笑)やっぱり気持ちを込めて造るのが大事ですか?」

遠藤さん「ビール造りって、仕込むタイミングは1日で終わっちゃうんですよ。
そこから1週間元気に発酵した後、続く2,3週間ゆっくり発酵するんです。その間にブルワーの僕らにできることって、雑菌が入ったりしないように綺麗に掃除をしたりとか、毎日温度計を見ながらこまめに世話をしてやったりなんですよ。丁寧な世話を継続するためのモチベーションがおいしいビールを造ってやるぞっていうパッションかな」
オハさん「すごくこまやかだし、遠藤さん恋愛上手そうですね」
遠藤さん「はい、恋愛うまいですよ(笑)まぁ深堀りはしないでおきましょう(笑)」」

 

自宅でビールを造ってみたいんですが

オハさん「野心的でいいですね(笑)遠藤さんいかがでしょうか?」

遠藤さん「質問者さんが仰っていた通り、日本国内では度数1%の物を作ると捕まっちゃいますから、大前提として、1%未満の物としてお話しますね(笑)ビールっていうのは2000年以上前から作られてきたお酒だから、今の僕らにが作れないわけがないんですよ。言ってしまうと、麦芽を買って、つぶしてお湯に入れて放っておけばできちゃいます。でもそれより美味しく作ろうと思うと本やネット調べ物をして、アサヒさん、あ、A社さん(笑)がやっているような工夫をする必要がありますね」

オハさん「名前言っちゃいましたね(笑)その辺の技術は気になるところです」
遠藤さん「詳しいところだと『自分でビールを造る本』っていう本がありますね。ビール造りが自由にできる国で書かれたものです。日本でも"勉学のために"なるはずだということで翻訳されました。この本に書かれたことをもとに1%未満を作りましょうという前提でいくと、鍋と耐圧のペットボトルがあればできちゃいます。まぁ、なかなか1%未満にコントロールするのは難しいんですけどね(笑)」

オハさん「僕の知る限り初心者に1%未満は作れないって聞いたこともあるんですが、その時はどうすればいいんでしょうか?
遠藤さん「水で薄めてください(笑)」

↓ビール造りを「勉強」したい方はこちらから(笑)

(クリックでAmazonページに遷移します)

 

ドイツ人は常温でビールを飲むことがあるそうな。どう飲むのが美味しいですか?

遠藤さん「常温で飲むようなビールというと、アルトかな?さっき歴史の話でエールとラガーではエールの方が古いってお話をしましたね。ドイツのアルトは英語で言うold(オールド)のことで、ゆっくりちびちび飲むことが多いですね。一方で、新しいラガーは冷蔵庫ができたあたりに広まったものだから冷やして飲むのが美味しいね」
オハさん「常温のものって度数が高かったりするんですか?」

遠藤さん「いや、そうとも限らないですよ。これまた色んな種類があります」

 

リスペクトしている醸造所は?

遠藤さん「途中で紹介した僕の好きなJREAMを造るバーリーオークはもちろんですけど、ほかにはアメリカサンディエゴのセイントアーチャーかな。東京だとDD4Dさんが好きですね」

オハさん「良いですね。質問者さんはほかの銘柄探しの参考にされたいとのことでしたけど、遠藤さんに紹介いただいたのは、売っているところも限定されるので、値段は張りますよ。価格を見てびっくりすると思います(笑)」

おわりに一言

遠藤さん「皆さん今日はご参加いただきありがとうございました。ビール買っていただけて嬉しいです。人生を変えるなんてことまでは言えませんが、毎日をちょっとだけ幸せにできるようにしたいです。そのために人生を注いでビールを造るので美味しく飲んでください!」

 オハさん「ありがとうございます。YYGは新垣結衣さんの『獣になれない私たち』の撮影場所になっているそうですね。ガッキーと同じ気持ちになりたい方は是非(笑)」
遠藤さん「YYGは代々木にあるんですが、要はわいわいがやがやのYYGです(笑)今の時世とはまったく正反対なので火曜金曜に少しだけ開けてます。落ち着いてからでも来てみてください。」

(チャットで「落ち着いたら遊びに行きます!(^^)!」というメッセージが飛び交う)

オハさん「来週からチェリーのビールも出ますからね、オンライン販売も楽しみです。さて、次回は隅田にある江戸東京ビールさんとやる予定なのでご興味のある方はぜひ次回も参加してみてください。5/31 16:00~です」

 

まとめ

いやはや、興味本位で参加してみたもののすごく面白かったです。特に、フードペアリングなんかはとても勉強になりました(ホップの種類についても詳しく話していただいたのですが冗長になるかなということで割愛🙇‍♂️)。

さて、インタビュー形式の投稿は初めての試みだったのですが、お楽しみいただけたでしょうか?ビールを飲みつつ、最近仕事で任されている議事録作成の練習をしてみました。オンライン飲み会が終わってからはビールのふわふわ感と完走感とで寝落ちてしまいました(笑)

記事書いている身としては良い気分転換でした。引き続きKindleの準備も頑張ってまいります。最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

 

Kindle出版完了です!

お久しぶりですmorokitchです。 

ペルーに行ったっきりで投稿できませんでしたが、ほんの少し落ち着いたので生存報告です(笑)山あり谷ありでペルーから何とか帰国し、日本でお世話になった皆さんに報告会でお礼、大学院を卒業してすぐ東京に引っ越してリモートで研修を受けるといった生活を送っておりました。

さて、ブログ更新が遅くなっていた言い訳なのですが、ペルー料理旅の成果をkindle出版しようと現在準備中です!下書き途中の段階で13万字をこえており、ちょっと絞り込みが必要ですが…。→★2020年10月に完成しました★

KINDLE UNLIMITEDにご登録の方は無料にてご覧いただけます↓

なので、ペルーで体験したことは、出版を終えてから少しずつ記事にしていきたいと思っています。かといって、ずっとはてなブログ手付かずなのもなんだかなぁと思い、今回は帰国後の出来事を投稿することとしました。

 

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突然ですが、私には旅の師匠がおります。加えて文才もある方で在学中からお世話になっておりました。帰国してから「kindleに出版します!」と伝えると、フレンドファンディング用に作ったレポートのレビューをしてくださいました。

というわけで今日はその時に話した内容を少しだけ紹介したいと思います。「料理要素はつけなあかんで」という読者様のためにちょっとしたペルーな創作料理も紹介します。

 

 

まずは「どうやったらディープなスポットを知ることができますか?」と師匠に聞いた時の答えです。 

今や本一冊でプライスレスな体験ができる時代

旅行先を決める時にブログや雑誌を読みますよね。私は凝り性だったのでそれに加えて、アマゾンプライムで「ペルー」と検索して手当たり次第に読み放題したり、文化人類学者の本を読んだりしました。

さて、これまでは普通のこと。旅先のディープな情報を本気で仕入れたいなら「本の著者にコンタクトをとりましょう」と教えて頂きました。確かに、必ず本には著者経歴が書かれていますし、Kindleでは著者のブログやインスタアカウントまで書かれています。直接本人と話せれば文字に起こせない現地のリアルなニュアンスや、書ききれなかった細かい情報にたっぷり出会えます。

 
「いや、そんな厚かましくしちゃっていいの?」と思いますよね?いいんです。私自身ペルー料理修行の学びをKindleに出版する際は、コンタクトOKと明記します。「お問い合わせはこちらに」とメールアドレスを書いてある本もありました。まぁ人によるでしょうから、ダメなら断られる。それだけです。

そういえば、私自身やっていました。ペルー料理本が国内には一冊しかありません。ミシュランのビブグルマンに載る満席の有名店でランチを食べてから「夕方30分だけでいいので話を聞かせてください!」と頼み込みました。それでOK頂けたのですから、大抵の大忙しの人も会ってくれるんじゃないかと思います。言わずもがな彼からは目からウロコな情報をたくさん頂きました。

Kindleなら数百円、ハードカバーでも数千円で極上の知識が手に入ります。もしかするとこれからは本は欲しい情報の入り口に過ぎず、巻末のプロフィールから先が真の情報収集になるのかもしれません。

 

次は師匠に「ペルーの食材もすごいけど日本の食材も負けていないなと思いました」と感想を言った後の話。


食の究極形態はローカルフードかもしれない

 
世界屈指の食の豊かさを誇るペルーから帰ってきて「よく見たら日本にもたくさん魅力的な食材があるな」と気づいたのが今日この頃。じゃがいもを産地ごとに使い分けるペルー人のこだわりに感動したのは記憶に新しいですが、日本にも張り合える食材がたくさんあります。例えば、葉生姜やエディブルフラワー入りのベビーリーフを取り扱う駅前東急ストアの「農家直送野菜コーナー」は大のお気に入りになりました。

この際、ちょっとわき道に逸れて、最近作った料理も紹介しましょう。

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これは、スイートポイントというニュージーランドの甘ーいパプリカの肉詰め。目に入ってすぐ「アヒアマリージョみたいなんあるやん!」と飛びつきました。家に帰って生のままかじると驚きの甘さ…思わずそのまま半分食べてしまいました(はらぺこあおむしもびっくり)。

アヒパンカとニンニクと一味唐辛子を加えてミンチと少しの豆腐を入れてよく炒め、最後にオーブントースターで10分ほど焼き上げました。あしらいはかわいい多肉のアイスプラントです。

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続いてこちらは料理用バナナのトーストサンド。モチーフはアレキパのホームステイ先で作り方を教わったロコトアレキペーニャです。これまたアヒパンカベースのアデレソを作ってパンに塗り、間に揚げ焼きにして塩を振ったバナナを挟みました。

てっぺんに卵黄入りのメレンゲを乗せて180°のオーブンレンジで15分弱。仕上げにアニスを振りかけました。

いやはや東京って何でも手に入っちゃいますね。最近はエシャロットを狙っていて「おつとめ品」になるのを今か今かと待ちわびております(ちょっと高い)。

 

そろそろ本題に戻りますね。日本の食材はすごいって話の続きです。

定量的にはA5和牛や糖度、定性的には一本釣りやカボスぶりなど、味の評価基準が多いですよね。しかし、師匠からするとこれはまだまだ表面的。そんな優れた食材たちの悲しい一面にメスを入れます。

「でも、魚沼産こしひかりってたくさんの農家の米を混ぜて売っているんですよ。淡路島の牛乳なんかもそうで、色んな牧場でとれたミルクが混ぜて売られててーー」

…はて、私お気に入りの牛乳は北海道牛乳ですが、一体自分はどこの乳牛の味に惚れたんでしょうか?

ピンポイントで生産地に足を運んで初めて、産地ブランドを支えるメインプレイヤーの実力を知れます。多分北海道の牧場で飲む牛乳はスーパーのあれより何倍も美味しいはずです。さて、ここからが重要な疑問。

 
「何故こんなに美味しいんですか?」

 

例えば、北海道のカウボーイは答えます

「うちでは沖縄のサンゴを使って土づくりをしてるからね。牧草の質がちがうんですよ」

じゃがいも農家さんならこう言うでしょう

「いや、巷では新じゃがが美味しいって騒いでるけど、収穫後に半年寝かせた方がデンプンが糖化して甘く美味しくなるんだよ」

 

師匠は曰く、本当に美味しい食材の扱い方は生産者が知っているとのこと。
産地というスケールでは個々の農家の良さがごちゃ混ぜになりどうしても平板化してしまいます。本当に食材の良さを知っているのは、何年もその食材を愛おしく育てて食べてきた生産者です。

生産者は経験的に培った美味しさを持っています。SNSが発達して個人が活躍できるようになったこの時代。食材を産地でなく農家の〇〇さんという単位で選べるようになると、ずっと素敵な食ライフが送れそうな気がします。

 

最後はちょっとした雑談より。

コロナに見る「部分解」の罠

 

「STAY AT HOME」「家から出ないで」こんな非日常が日常になり始めてきましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。感染者が一月前までほとんどいなかったペルーでは爆発的に感染拡大し、日本の感染者数の1.5倍にまで達してしまったそうです。日本では「一世帯に2枚マスクを配ります」ペルーでは「男は月水金、女は火木土しか外に出てはならない」などなど他者多様な対策が打ち立てられています。

さて、

「なんでこんなに対応が違うの?」

というのが自然な疑問でしょう。その原因が部分解にあります。他者への感染防止に固執しすぎた日本はマスクという自分から他者への拡散は防げるものの防御力の低い装備に辿り着きました。ペルーでは家族での集団行動を抑えて街に出る人の絶対量を減らすことはできましたが、単身者には不自由極まりない生活を強いてしまっています。

個別に見てもそうだし、もっと大きく見てみましょう。世界全体として家から出ないことを大前提としていますが、ストレス過多になり身心に不調をきたしている人が増え、収入がなくなり生活すらままならない人も出てきました。医学的観点からウイルスと戦うことに固執して運動科学や精神医学、経済学は二の次にされてしまったからでしょう。議論は際限なくできそうですが、ここで一つ知見が得られましたね。次のことが言えるでしょう。

 
「一つの立場から全体最適は作れない」


今日初めにお話した「本の著者に会いに行こう!」にしても本質を突き詰めると、文字を拾い読みする自分と、文字より大事な体験をもつ著者との立場の交わりが重要な点です。

「本にちょこっと書いてた話ってそんなに大事だったの!?」

と何度思ったことかわかりません。最近、コンサルの新人研修も始まったんですが、ロジカルシンキングって1000ページの本があっても書けないのでは…と思っています。ビジネス本を読んで知ったつもりになっていましたが、その著者レベルの人たちにコテンパンにされております。

つまり、人が交わることで情報の意味合いは爆発的に成長するのです。どれだけ眼光紙背に徹そうとも、読めない情報を人は持っています。

しかし、コロナ対策会議に精神科医やアルバイトで生計を立てる人はいたでしょうか?多分、似たり寄ったりな経歴の人や医療関係者が多かったはず。

 


こんなことを考えながら、どうやったら最高に美味しい料理が作れるのかな、と思いを馳せるのです。「日本はある程度、ペルーもそこそこ、カレーは独学で少しやったけど足りるんだろうか…」

ここまでくると中国やトルコ、お金を頑張って稼いでヨーロッパにも行ってみたくなります。もっと色んな料理人にも会ってみたいし知識のある人と話したい、なんて。

師匠とコロナ論を交えながら、他人を鏡にして自分を見つめ直すきっかけをゲットしました。

 

 お知らせ

  レビューを受けた内容を踏まえてこれからKindleでの出版に向けた準備も進めていきます。サクッと読めるダイジェスト版とじっくり読める文庫本兼写真集の2冊に分けて出版しようと思っていますが、もしかしたら間を取ったような一冊の本にするかも。

仕事と並行できるかは謎ですが頑張って行きたいと思います!

また、ブログの更新は京都にいる間に下書きのまま放置していた記事とか、時数の関係でKindle出版に載せきれなかった文章を面白く編集して投稿出来たらなと思っています。更新頻度は落ちるかもしれませんが長い目で見守っていただけますと幸いです!

ロサンゼルス国際空港近辺の食

こんにちは、morokitchです。とうとうペルー料理旅を開始いたしました!この記事では日本からトランジット先であるロサンゼルスまでの事を書いています(旅先でのメモのため常態で書いています)。

フレンドファンディングに協力していただいた方へのリターンは、3/3-3/20までの日記を加筆修正し図や写真を追加したもの、そして、料理マッピング(後日紹介)を100枚(予定)を合わせてお送りしようと考えています。どうぞお楽しみに。

 

3/3 6:00〜8:00(日本時間)

出国の朝は早く起きて京都市中央市場へ原付を走らせた。ペルーのメルカド(市場)を見る前に日本のそれの感覚も覚えておかねばならない。広い敷地には段ボールや発泡スチロールが敷き詰められ、そこら中でリフトが走り回っていた。

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スーパーで売っているような手頃な雑魚がいればと思ったが、やはり卸売なだけあって立派な魚しか売っていない。雰囲気は、売りに対して活気があるというよりも魚の下処理に真摯に向き合う職人の姿がむしろ静的だった。


魚を捌くのは諦めて新鮮な白魚を買った。帰宅して国産レモンと岩城屋の醤油を使ってトマトサラダとセビーチェにした。さらばJAPAN。包丁も研いで関西国際空港へ向かう。

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3/3 14:00〜17:15(日本時間)


関西空港国際線のチェックインカウンターは広々としていた。一瞬フロアを間違えたかと思うほどに人が少なく、キャンセルされている便もいくつかあった。ライブや演奏会とは違い、コロナウイルスに対する警戒が目に見えて実感される。

幸いロサンゼルス経由リマ行きの便は運行されるらしい。チェックイン・手荷物検査・入国審査いずれも並ぶことなく30分足らずで全ての手続きが終わった。チェックインでひなあられを貰い、そういえば今日は桃の節句だったなぁと思い出す。


持て余した時間は、タイラーコーエンの「エコノミストの昼ごはん」の読書に充てることにした。

商品リンク↓

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良いレストランを見つけるために内部相互補助に注目する方法がある。例えば、カジノの中華が美味いこととカジノに中国人客が増えることには正の相関がある。カジノで儲けるために多少採算が厳しくなろうとも、質の高い料理で顧客を引きつけようという経営戦略である。


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とすると、今朝足を運んだ京都中央市場に併設の寿司屋(10:30開店)は値段相応以上に美味しいに違いない。今朝も市場内に一般客はいたし、卸とはいえその8割型は小売に対応する習慣もある。実際に中央市場が一般客を増やすためのバーベキューや食の祭典などのイベントに手を打っていることもその裏付けとなろう。ペルーでもそういう場所を見つけて足を運びたい。


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※ただし、内部相互補助は料理の原価率が高くなる場合にしか良い店(料理)を探し出すことはできない。例えば、映画館のポップコーンは薄利な映画上映費用を回収するための料理である。スタバの甘いドリンクも上質なコーヒーを淹れるための役割を担っている。また、酒を飲むならアテの価格の高いBAR、料理を食べるなら飲み物の価格の高いレストラン。すなわち、今回の料理旅では、優れた内装や景色が売りのレストランで食事をする事はないだろう。


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トランジット先のロサンゼルスへ向かう搭乗口に着いた時点では、同じように早く着きすぎた日本人が5.6人ほどいた。搭乗1時間前になると欧米人たちも現れ、最終的に130人ほどが集まり国際線らしい雰囲気になってきた。


9時間30分のフライトではスープストック東京の機内食がでできた。写真に書いたように、総じてクオリティは高かった。


そしてロサンゼルスに到着。視界に入るすべての人が映画の役者に見える。現地時間にして12時を過ぎたので昼食をとることにした。

空港から北へ1.5キロほど歩くとIN-N-OUT BURGERという観光客に有名なハンバーガーショップがある。その前には小さな芝生があり、思い思いに座って昼食をとる人や昼寝をする人がいた。なんとも自由。日本だとまず外で寝転がる人なんていないなぁ。


そこを通過して更に歩いたところにメキシコ料理の店があったのでそこで食事をすることにした。

いわゆるテクスメクスで、サルサとトルティーヤを組み合わせたアメリカ料理。空港近くで車の通りが多いゆえ、賃料もそれなりなのだろう。使う食材は缶詰からでできたような印象で、使われるサルサやアヒソースも既製品に見えた。不味いとまではいかないが、外食産業の資本関係を感じさせられる買い物。チップ込みで$13だった(チキンのクミンをもっと効かせて、メキシカンライスの炊き上げに使う水をもう少し減らすと美味しくなりそう)。

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さらに北へ歩くとスーパーマーケットがあった。来たぞ食品コーナー!入り口は生花が並べられた香り高いフローラルな雰囲気で、手前から葉物野菜、果物、根菜類、奥に加工食品や生活用品が並び、陳列は日本のそれと同じような仕方である。

赤や黄色のビーツに加え、サツマイモのような色をした赤いじゃがいも。日本では手に入れにくいフレッシュのハーブが所狭しと並んでいる。

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驚いたのは葉物野菜がびしゃびしゃなこと。じっくり見ていると棚の上からシャーっと水がスプレーされてきた。野菜的にこれは嬉しいのだろうか?少なくとも水が滴る野菜たちは新鮮に見えた。


果物コーナーは特に面白く、スターフルーツパッションフルーツ白ココナッツアーティチョークに加え、刺々しいキワノメロンや、たらこ唇のような形のチャヨーテスクワッシュに初めて出会えた。

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加工食品コーナーにはサルサソースやキムチ、味噌、豆腐のような海外の食材まで並んでいるし、乾燥食品コーナーのスパイスの種類には目を見張るものがある。今にでもこれらを買い占めてキッチンへ駆け込みたい衝動に駆られた。


戦時中に大活躍した缶詰は今でもなおアメリカ人の食卓に届いているらしい。先程のメキシコ料理屋で食べたブラックビーンズやコーンも安く売られていた。それでもやはり物価は高め。トルティーヤサラダの原価計算をしたらファストフード店にも関わらず、低く見積もっても50%程度になった。なるほど、ホールスタッフの生活を支えるチップという文化が発達するわけだ。


こんなにも食材に恵まれているにも関わらずアメリカ料理が育たなかった理由はなんなのだろうか?

例えば、テレビと子供中心の生活が挙げられよう。

前者によりテレビを見ながら食べられるような食品が求められたり、温めたり混ぜたりするだけの時短料理が主婦層に広まった。後者によって酒やつまみが育つことなく、子供を中心に意識したファミリー食が広まった。これらの結果として、見た目を意識しない菓子や朝食(目はテレビの方を向いている)や、ケーキやアイス、ピザといった子供が喜ぶ食事が大いに普及した。

今日足を運んだ二軒のスーパーマーケットでもバケツ一杯のアイスが$7以下で売られていたり、日本のホールケーキの2倍以上の高さのケーキが$11で売られたりしていた(トルティーヤサラダの5倍のカロリーはあろう)。


もちろんこれらの下支えとして、世界随一のスピードで発達した生産技術、通信技術、流通システムがあるのは言うまでもない。

「最先端を行く」というのは常に潜在的な問題を看過してしまうリスクをはらんでいる。


帰り道は歩き疲れたのでマンゴースムージーを$7で買ってIN-N-OUT BURGERの前の芝生で飲むことにした。街路の灌木や観葉植物を見ると多肉種が多いのに気づく。

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ロサンゼルスらしい暖かな日差しとカラッと乾いた空気の賜物であろう。人によって選抜された栽培種の多くが、ぼってりした果皮を持つのも頷ける。

芝生に座ると想像以上に柔らかく、ここまで肉厚なのかと驚かされた。寝転がると少し冷たくなってきた風も避けられて心地が良い。リマ行きの便まであと5時間。残りの時間はスペイン語(結局全然話せない)の勉強と読書に充てることにしよう。

魅惑のカカオ〜チョコだけでない食材としての顔〜

こんにちは、morokitchです。

今日は大阪鶴見緑地公園にある咲くやこの花館にて開催された「コーヒーとカカオ展」に行って参りました。目的はズバリ太田哲雄さんの「アマゾンカカオのおいしいお話とワークショップ」です。

今回の記事では、日本であまり知られていないカカオについての情報を紹介させていただきます。

さて、太田哲雄さんは、世界一予約の取れないレストラン「エルブジ」で東洋人として初めて厨房に立ったことで知られる腕の立つ越境料理人です。ペルーのアマゾンカカオを日本に輸入し、料理のための食材としてカカオを使う食のパイオニアとしても知られています(著者もありますので詳しく知りたい方は下記リンクをご覧ください)。

 

後日「Backpack FESTA」でカカオ×世界一周のプレゼンテーションで優勝した河野真奈さんの旅の理由である「カカオ農家」についても追記しました(訳あって半分手紙形式になっております)。

 

アマゾンカカオのペルー風オムライス

 

早めに会場に到着したので、ワークショップが始まるまでの30分にワールドトラベラーズカフェでアマゾンカカオのペルー風オムライスを頂きました。というわけで、カカオ紹介の前に少しばかりカカオ料理の食レポを。

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まず、上に散らばっているのはカカオニブ(チョコレートになる前の発酵ローストされたカカオ。後述します)を摘んでみました。ころっとした脆い歯応えが柔らかな卵と合い、赤ワインを口にした時のようなコクのある苦味と酸味を感じます。

続くデミグラスソースは玉ねぎの自然な甘みがしっかり引き出されていました。ワインのシャープな酸味香味は、あえて言語化するなら「丸く縁取りした四角い輪郭」という感じでしょうか???マイルドと角が立つの中間くらいのさじ加減でした。

そして特徴的なカカオ炊き込みご飯。これ単品だとなんとなくチョコ風の香りがする渋みあるご飯という感じ。

これらを卵と一緒に口に入れると、今まで味わったことのないような完全一体感を体験できます。いわゆる私達が食べ慣れたオムライスとは違い、子供ウケする洋風和食とは別の、大人の味です。

素材の味を活かした和食的な食味構成…美味しい!

ちなみに、間に挟まっているスチームチキンは誰にでも愛される味。しっとり火入れされた肉感がありながら、まるでフォン(フレンチの出汁)を飲んでいるかのような快いフレーバーがありました。この香り、どうやって出すんだろうか…?フォンに使われる食材で下味をつけて実験してみたくなりました。

 

食材としてのカカオ

 

さて、それではワークショップの紹介になります!

前半は、チョコレート製造において現れるカカオの中間製品の紹介と試食。後半は太田哲雄さん考案のフォンダンショコラとキャラメルポップコーンの試食がありました。

 

ワークショップ前半部分を要約すると下の図のようになります。

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カカオがチョコレートになるまで


 カカオ採種後の加工の流れは下記の通りです。

 

  1. 発酵:バナナの葉の菌を素に乳酸発酵と酢酸発酵を起こし、カカオの実の味を種まで浸透させる
  2. 天日干しとロースト:加熱することで初めてカカオの香りが立つ
  3. 脱穀:種の皮部分と胚乳の部分(カカオニブ)に分ける
  4. 圧搾:ココアパウダーの素とカカオバターに分離

 

私達が普段口にするチョコレートに至るまで、様々な加工工程が入り、その都度に中間商品も生まれます。乳脂肪分や砂糖を加えられた美味しいチョコレートはそれだけで魅力的ですね。しかし、チョコレートになる前の素材もまた、人の心を惹きつける魅力を持っています。

 

参加者には中間商品の試食が配られました。
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1つずつの特徴や味を紹介します。

  • カカオニブ:先述の通り、赤ワインに似たような強めの酸味と苦味渋みがあります。太田哲雄さんの使うカカオは浅煎りなので苦味は弱く、フルーティーさが際立つ明るい土色をしています。
  • カカオペースト:よくスーパーでカカオ80%のチョコレートなんかが売られていますが、まさにその原料という感じ。甘みは一切なく、純粋なカカオフレーバーを感じます。昔のチョコレート職人であるショコラティエは既製品のチョコを買って溶かしてガナッシュを加えたりという加工をしていたそうですが、最近のショコラティエはカカオペーストから買ってそこに乳脂肪分を足すことでチョコを作るそう。ちなみに乳脂肪分は香りを抑える効果があるのでたくさん入れれば入れるほどカカオの香りが弱められます。ストロベリーやオレンジのようなフレーバーチョコを作る際はカカオの香りを抑えて使うことが多いようです。
  • カカオマス(ココアパウダー):豆腐製造でいうおから的ポジション。脂肪分が一切含まれていないのであっさりしており、水分に対して均一に混ざることから菓子にもよく使われます。あくまで副生成品であるために商品価値は低く、安価なチョコレート菓子などによく用いられています。
  • カカオバター:カカオペーストを圧搾すると油分と固形物(カカオマス)に分離されるのですが、こちらは油分の方。一般的にはアルカリ処理して脱臭された上で食品として利用されるほか、リップクリームなんかにも使われるとか。太田哲雄さんは「せっかくの香りを消してしまうのはもったい」ないということであえて脱臭処理を施さずに製品化されています。ほんのりとチョコを想起する香りがあり、シチューに入れたり焼魚に乗せたりしても美味しそう。
  • ハレア:カカオの実を煮詰めたジャム。カカオの香りというよりはコクが活かされた粘度の高い甘いシロップ。加水して唐揚げにかけるのがオススメだそう。これを仕入れるのはすごく大変らしく、このシロップを作るカカオ農園にはガス水道電気が通っておらず、太田哲雄さんに使える伝書鳩おじさん?(笑)なる人が文通でやりとりしているそうです。土竈で煮詰めるらしいのですがその温度はどれくらいかも分からず、完全に農園のおばあちゃんの経験知に委ねられています。これは中々手に入らないわけだ、すごく希少ですね。
  • カカオ豆の殻:カカオの脱穀後に出てきた豆の皮部分はお湯で出してお茶にしたりします。水出しにすれば油分が浮いてこないので澄んだゼリーを作るのにも使えます。また、皮そのものの食感を活かすために砕いてクッキーやパンに混ぜてもOK。さらに、リラックス効果のある香りを放つので家畜の寝床に置いておくだけで豚や牛が健やかに育つなんていう使い方もあります。商品価値がないとはいえ、用途は様々です。

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こちらの豆殻のお茶、ハッとするほど鋭いチョコレートの香りがしました。

 

さて、写真の紫色でハイライトした食材も紹介しましょう。カカオの仲間に「ビコローレマカンボ」という品種もあります。成分分析によるとカカオよりも旨味が強く、無発酵のまま皮付きで食べられるくらいのポテンシャルを備えています。これをローストして塩するだけで上等なおつまみになりそう…(実際に素材そのままでもおいしかった)。

ただし、こちらは市場に全くと言っていいほど出回らない超希少食材。にも関わらず太田哲雄さんはこマカンボの油脂を抽出してマカンボバターなる商品まで作ってしまわれました。現在、ショコラティエと共に試行錯誤しながら「使い方」を模索しているとのことです。凄まじいパイオニア精神ですね。

 

一通り中間製品の味見をしたところで、カカオペーストにブラウンシュガー(南米では白い精製糖はほとんど使わず黒糖やブラウンシュガーを使うそう)を入れただけのものにお湯を入れていただきました。純度100%のチョコレートドリンクです。

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市販品とは違って乳脂肪分が一切加えられていないため、カカオの香りがダイレクトに鼻腔に刺さります。目の覚めるようなチョコレート感…!!!少し時間を置いて寝かせると、このトガりがマイルドになって風味が変わるそう。素材そのものの良さを追求する姿勢に和に通ずるものを感じました。

チョコレート作りというと複雑で難しいイメージがありますが、このカカオペーストに砂糖と水分(乳脂肪)を追加して固めるだけでできてしまいます(プロ仕様の場合、途中にテンパリングという温度管理が入ります)。

 

カカオを使ったスイーツ

 

最後に、太田哲雄さんの代名詞ともいえる2つのスイーツ「フォンダンショコラ」と「キャラメルポップコーン」をいただきました。f:id:morokitch:20200223170849j:image

フォンダンショコラは、「La casa di tetsuo ota」のある軽井沢の湧水とカカオだけで作られています。固めるための繋ぎは卵のみ。あとは、カカオペーストとカカオマスから作られています。小麦粉を一切使っていないグルテンフリースイーツであるのに加え、超加水料理に分類されます。超加水とは、どの材料よりも水が多い焼き菓子などに使われる言葉です(最近では、極めて優しい舌触りの超加水パンが話題になりました)。太田哲雄さんのフォンダンショコラも水分が多いためか、舌に染み込んでゆくような滑らかな口当たりが好印象でした。「重たい」イメージだったガトーショコラの概念を払拭するような挑戦的な料理でした。

 

もう一方のキャラメルポップコーンは、カリッとしたキャラメルの膜がとても嬉しい。一つ一つ丁寧にカカオ入りキャラメルをつけているのでどこをとっても均一な味わいを楽しめます。

意識せずに次々に食べ進めるのも贅沢ですが、最後に口に残る後味からカカオに想いを馳せるのも乙。先駆けてペルーのアマゾンへ足を運び、究極の美味しさを追い求めた太田哲雄さんの並々ならぬ苦労と熱意が結実した味です。一口あたりの価値の重さが違いますね。
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神秘の植物カカオの栽培

ここではトピックスとして太田哲雄さんのカカオの栽培や発酵工程について紹介します。

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中南米メキシコが原産のカカオは、幹から直接花や実がつく幹生花(カンセイカ)の仲間で、大きく分けてクリオーリョ種、トリニタリオ種、ファラステロ種の3種類に分類できます。そのうちの約99%が栽培種と言われています。現在では交配による品種改良や、1%の野生種を見つけ出すカカオハンターの努力によって世界で60近くの品種が作られています。

カカオは品種改良(継ぎ木や交配)が起こりやすい植物です。近くに異なる品種のカカオを育ててしまうと簡単に交配が起きてしまい、一つの木から緑、赤、黄色の様々な形のカカオの実がなってしまうこともあるそう。そのため、純血な単一種のカカオを栽培するためには木と木の間を数メートル離して育てるとのこと。この不思議なカカオの交配メカニズムは現代科学でも解明されておらず、パティシェや料理人のみならず科学者からも研究対象とされています。

一方で、カカオの花は小さく、その花の中に入り込んで花粉を媒介するのが蚊くらい小さな蜂に限られるために結実するのはわずか数%といわれています。

 

太田哲雄さんが栽培されているカカオは、フルーティな味が特徴のクリオロ種。病気に弱いため国内へは運んでおらず、ペルーの農園で育てられています。

発酵工程がポイントで、太田哲雄さんのカカオ農園では自然発酵方式を採用しているそう。カカオの発酵では、種がたっぷり入る木箱を5.6個並べておき、1日目の箱、2日目の箱…というように毎日毎日種を入れ替えていくのですが、あくまでその箱は雨除けでしかありません。ガスや電気を使った温度管理を一切することなく全てがアマゾンの気まぐれな気候に委ねられます。発酵させる箱の数が5個で済んだり6個必要だったりするのもその時々の気候と種の熟し具合によるのでしょう。

ちなみにペルーではカカオの多くは湿度の高いアマゾンで育てられていますが、クスコのような高地(山側アマゾン)でも一部育てられているそう。マチュピチュや町並みばかりが有名なクスコでも、現地の人にうまくツアーを組んで貰えばアマゾンの一端にふれられるかもしれません。

 

河野真奈さんへ:カカオ農園で働く子供とフェアトレード

 

ここから先は追記分です。2/25開催のBackpack FESTA 2020の世界一周コンテストの決勝戦を聞きに行きました。「私が世界一周する理由」をプレゼンテーションして最も優れたプレゼンをした学生に世界一周航空券が渡されるといった夢のあるイベントです。決勝戦では4人の学生がプレゼンを行いました。

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簡潔に言うと河野さんのプレゼンが最も自分に刺さりました。彼女は、チョコレートを食べるのが大好きなだけでなく、チョコレートの検定やマイスターの試験に合格し、更には他の学生がディズニーやユニバで遊んでいる時間に世界中のカカオ農園に足を運ぶほどのカカオ通。後継者のいなかった齢100歳のショコラティエに弟子入りしてその技術を継いだり、現地農園で働く子供達とチョコレートを作ったりとその活動は止まるところを知りません。

そんな彼女が世界一周をしたいと思う理由が、消費者と生産者のギャップでした。私たちはチョコレートを食べて幸せになりますが、必ずしもそれを作っているカカオ農園の人々が幸せであるとは限りません。プレゼン途中に流れた動画では、カカオ農園で働く子供達をクローズアップしたものでした。早く働けと怒鳴られながらカカオの実を取りに木へ登ったりナタを使って種子を取り出したり、あるいは罰としてスクワットをさせられていたり、彼らはカカオが何になるのか何のためにやっているのかすら教えられていません…「学校へ行きたい」「僕は一生ここで働かなくちゃならないんだ」わずか6歳の子供が涙ながらに語る絵には強烈なメッセージ性がありました。

彼らは当然チョコレートの味を知りません。河野さんは、そんな彼らのもとにチョコレートを運び「あなたたちが作っているチョコレートはこんなに美味しいんだよ」「あなたたちのおかげで世界ではたくさんの人が幸せになっているんだよ」と伝えるのが夢だそう。日本ですら働きがいや生きがいと叫ばれている世の中、彼女は我々から遠い世界の子供達に生きがいを与えて幸せを感じてほしいという確たる想いをプレゼンしました。

 

自分でびっくりしたのですが、それを聞きながら涙が出ました。河野さんの人心掌握がうまかったからであり、私がペルーへ料理修行に行くのと重なったからであり、何より、自分よりも遥かに強いハートと目的意識があったからでしょう。精神的な美しさを目の当たりにした感動に心を揺さぶられたのだと思います。

イベント終了後に登壇者へのメッセージカードを送れたのですが、直後に用事があり頭の中も何をどう書けば伝わるのかまとまりませんでした。正直に「今うまく書けないのでブログから読んでください」なんて書いてしまいました。多分届かないんだろうけど、もしかしたらという思いを込めてここにしたためさせていただきます。

 

河野さん

backpack FESTA世界一周コンテストでの優勝おめでとうございます。先述の通り、プレゼン非常に感動いたしました。

私も河野さんとカカオが好きなように料理が好きで、美食国として有名なペルーの料理を日本へ持ち帰り和食を進化させたいという思いのもと渡秘することになりました。私が河野さんのプレゼンに心打たれたのは河野さんの語る「誰のために」がはっきりしていたからでしょう。もっともっと具体的に誰のために料理を学ぶのか、旅を通して学びたいと感じるようになりました。

メッセージカードに少し書きましたが、太田哲雄さんという料理人兼実業家の方がおります。彼は、最高の食材を求めてペルーのアマゾンへ赴いただけでなく、生産者が正当な利益を得られるようなフェアトレード(チョコレート生産のためにいくらカカオが売れても仲介業者や加工業者に利益を奪われるので第一次生産者は貧しいままである。その不均衡を解消して生産者を豊かにすること)を行っています。きっともうすでにご存知の内容でしょうが、河野さんであれば、子供達にやりがいを与えた上で根本的な問題解決にも取り組むだけの環境が整っていると思います。とにかく、これから数ヶ月は世界一周カカオ農園の旅を楽しんでください。生産者にやる気と生きがいを与える力は河野さんが誰よりも大きいことと思います。心より応援しております。

最後に、私から少しだけ助力できることがあるとすればカカオを使った料理への誘いだと思います。ブログ本文でも述べたように、カカオはチョコレートのみならず料理への利用も進み始めています。〇〇産カカオが〇〇さんのカカオになれば、チョコレートのみならず、料理へのブランディングも大きく進歩するに違いありません。消費者のニーズが倍々に大きくなれば、生産者の潤いも大きくなります。なので、ほんの少しだけカカオ原材料を使った料理に目を向けるのも面白いんじゃないでしょうか?というお誘いです。

きっとこれから、地理的な距離や国の違いの障壁はどんどん小さくなるのでしょう。世界の隅々まで足を運び小さな農家を発信する力を持つ人はそうそうおりません。しかし、知られるべき農家やそれを知りたい人は山ほどいます。私は、料理をする者として河野さんのご活躍に大いに期待しておりますし、ゆくゆく自分に発信力がつけばできる限りの支援もしたいと感じました。

もしこれをお読みいただけたなら幸いです。

頑張ってください。

 

なんかファンレターみたくなってしまいましたね(笑)きっと沢山のメッセージを頂いているでしょうから、このブログが読まれるかは不明です。いずれにせよ、生産者の目線から世界で沢山の笑顔を作ってくるのでしょう。

私自身に足りていなかった「生産者目線」も追加のテーマとして、ペルー料理修行をさらに充実させようと思いました。

 

長くなりましたが今日はここまで。

2/26の夜にアマゾンカカオを使った居酒屋出店をするので、その成果もゆくゆくはリンクとして貼りたいですね。

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では仕込み頑張ります!

ペルー旅行のいろは:2020年版「美食の街アレキパ」の暮らしや魅力

こんにちは、morokitchです。

昨晩、再び大阪市平野区喜連瓜破駅近くの『ラテン居酒屋 ソルーナ』に行ってまいりました。ペルーの旅行事情について大収穫でしたので、美味しいソルーナの料理も紹介しつつ、同志の旅行者のために情報の一部を共有させていただきます!

「ペルー行く予定ないよ〜」という人のためにも、料理レポートや面白エピソードを添えて楽しめる記事になるよう工夫しました( ¨̮ )

※店情報はこちらから↓

ラテン居酒屋 Soluna(平野区/居酒屋)<ネット予約可> | ホットペッパーグルメ

 

さて、実はソルーナに来店するのは2回目。日雇いバイトで大阪に行った帰りに寄って、チチャロン(カリとろ豚肉)、ポヨアルマニー(鶏肉のピーナッツソースがけ)、タマレス(ペルー風ちまき)を頂きました。ペルーの話に加えて、サンポーニャやギターを弾いてくれたりと、すごくフレンドリーでサービス精神旺盛な店長でした^ ^

morokitch.hatenablog.com

 さて、今回は先輩と共に行ったので胃の容量は2倍(笑)

他の種類の料理も沢山いただきました!

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この投稿では、今回いただいた料理の紹介と、アレキパ出身のオーナーさんから伺った「ペルー旅行のいろは」についてまとめたいと思います。

特に、旅行についてはじっくり聞けたので気合を入れてまとめてみます。

 

 

ソルーナのペルー料理(前編)

パパアラワンカイナ

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先輩リクエストの定番料理。湯がいたジャガイモにクラッカーでとろみづけしたチーズと唐辛子のソースが掛かっています。チャームポイントは紫色のペルーオリーブですが、なかなか手をつけようとしない先輩。

「あ、これオリーブだったんだ」

まぁ確かにペルー料理でない限りこの色は見かけることないですよね、安心して食べられますよ(笑)

ポリャーダ

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こちらはペルー風のタンドリーチキン。よく見かけるインド風(ターメリックをたっぷり使った黄色いチキン)ではなく、アヒミラソルかアビパンカ(辛味の弱い旨味唐辛子)を使っているのかな?食欲をそそるオレンジ色で香辛料の強い匂いもありませんでした。

極め付けはシェフ特製のワカタイ(ブラックミント)を使ったソース。玉ねぎやニンニクと油で作ったのでしょうか?旨味と甘味がしっかりありつつ、ハーブの爽やかな香りがチキンとマッチしていました🐓

レンテハスコンペスカードフリート

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これはレンズ豆の煮込みに魚のフライを添えた料理。

「何の魚か分かりますか?」

というシェフの問いに、もはや食い気味くらいのタイミングで

「全然分かりません!」

と即答する先輩。ここまで潔いと気持ちが良いですね(笑)正解はサバらしいです。水産資源の豊富なペルーではサバの他にカツオなんかも使われるとのこと。魚は季節によって変わるのかな。

個人的には上に添えてあるサルサがツボでした(んまぃ)

ペルー旅行のいろは

さてさて、ここらで旅行の話もしていきましょう。

私が3/3〜3/20でペルーに行く事を伝えたところ快くアドバイスをしていただきました。

大阪人の魂をもってペルーへ臨め

ペルーの食材調達といえばメルカド(市場)。メルカドに行けば、その街の雰囲気が全部わかるとも言われるほど。特に関東出身の旅行者は気をつけなければならないことがあります。それは「言い値では買わない」ことです。

特に、相手が観光客だとわかると相場の2倍、3倍の値段でふっかけてくることも多いそう。せっかく買い物をするのなら賢い消費者でありたいですよね。

「Disculpa. ¿Cuanto es? (すみません、これいくらですか?)」

と聞いた後に必ず

「¡Caro! Descuento, por favor. (高いですよ〜、安くできませんか?)」

と言って価格交渉をしましょう(笑)

観光客だからそうすべきというわけではなく、現地の人も当たり前に値切りをするんですから別に恥ずかしいことではありません。

「これ2つ買うから10ソルまけてよ」

みたいなペルー人流のやりとりを楽しむくらいの気持ちが良いかもしれませんね。

値切りに慣れていない関東の方々は、値切り風土の根付いた家電製品コーナーに行って「え〜これ〇〇電気は5000円で売ってましたよ、もう少し安くできませんか?」とか「広告のテレビに加えてDVDプレイヤーも買うからもう少し安くしてくれませんか?」

なんて練習しておきましょう(笑)電化製品は価格競争大好きな業界ですからやりやすいですよね。

 

ただし、どこでも値切りが通用するわけではありません。基本的には市場や個人商店のみ。大きなモールでの買い物や大手ブランドの服や靴は値切れないので注意しましょう。

…なんですが、店長の息子さんはadidasNIKEの衣料品や靴すら値切った実績を持っているとか(普通じゃありえないそうです 笑)

本当にお金がなくなって切羽詰まった時はやってみる価値がありそうですね(笑)

パチモンゲットだせ

ちなみにブランド品にも注意が必要なことがありまさに。チャイナタウンみたいなパチモンがメルカード(市場)には多いそうです。

明らかにアディダスではないけどアディダスだと言い張ってきたりとか、そんなこともあるらしいです。そういうあからさまな商品はどんどん値切っちゃいましょう。

聞いたところによると、PUMAを真似たllama(リャマ🦙)のパチモンブランドTシャツを見たことがあるとか。これははむしろ欲しいですね(笑)

気になるペルーのトイレ事情

トイレットペーパーは万能紙

旅行で気になるトイレ事情。ペルーはどうなのでしょうか?

下水道などのインフラがまだ整っていないこともあって、ペルーのレストランなどでお手洗いを借りるのは有料になります。その際に紙をくれるのですが、その量がと〜〜ってもケチ(笑)

明らかに足りないのでトイレットペーパーは持参しましょう。

ペルーでは大抵2個セットで売っているので、一方はカバンに、もう一方は芯をとって移動用バッグのサイドポケットに入れ、ロールの内側の方(芯を抜いた方)から使います。すると、わざわざロールを手に持たなくてもスルスル使えるようになります。使い勝手はウエットみたいな感じですかね。

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ペーパーは日本から持っていっても良いのですが、ペルーで買ってしまうのもあり。というのも、ペルーのトイレットペーパーは固くて水に溶けないので、

  1. 雨で多少濡れても大丈夫
  2. バス運転手に行き先を伝えるためのメモ用紙としても使える
  3. とても安い

なんてメリットもあります(笑) 

ただし、トイレに詰まってしまうので決して流してしまわないこと。ゴミ箱があるはずなのでそちらに捨てましょう。

 

便座はどこへいった?

ペルーのメルカドに行くと、便座が売っているのを見つけるかもしれません。なんでって、わたしたちが慣れ親しんだ便座は「トイレの標準装備」ではないからなのです。ペルーの便座は日本で言うウォシュレット的なところでしょうか?

なので、便座がない時は、本来それがあるべき場所に紙を敷き詰めて座るか、足を掛けてしゃがみましょう。お金持ちが行くようなレベルのレストランは流石に大丈夫ですが、バックパックで行くような際は戸惑わないように覚悟しておくと良いです。

 

お湯が出るって言ってたじゃん!?

温泉・湯船文化の日本人、ホテルで水シャワーしかないとがっかりしますよね。なので事前に

「このホテルはお湯出ますか」

「はい出ますよ」

と確認しておくのがgood。

しかしそれでもお湯が出ないことがあるのです。しかし、ただちに「嘘やんけ!騙された」と言ってしまうのは勇足。ここで、ホテルのスタッフは嘘はついておりません。ではなぜ、お湯が出るはずのホテルで水浴びをする羽目になるのでしょうか?

 

日本では、電気やガスでお湯を沸かすのでいつだって温かいお湯を浴びることができます。しかし、ペルーでは、水を貯めたタンクの中をソーラーで温めるシステムのものがまだ多く、溜まっている分を使い切ると水しか出なくなってしまうのです。

つまり、先程のやり取りには

「このホテルはお湯出ますか」

「はい(普段は)出ますよ(他のお客さんが使い切っちゃうと水しか出ないけどね)」

なんていう裏があったのです(笑)

 

水に弱い日本人は確実にお湯の出てくる日中や朝のうちにお風呂を済ませておくのがベター。安宿だと、日本みたいな、就寝前にゆっくりお湯に…なんてのは難しいことが多いですね。あるいは、気になるならホテルに泊まる前に、ソーラーかガス電気のどちらかを確認しておいても良いでしょう。

ちなみに、店長も20歳まで逞しく水で体を洗っていたそうですが、日本の湯船に慣れてからはペルーの水風呂に耐えられなくなったそうな(笑)

一度湯船の快楽を味わうと戻れなくなるんですね〜

ソルーナのペルー料理(後編)

観光談議は一時中断で美味しい料理の続きです🍳

先ほどの料理はぺろりと平らげてしまったので追加注文!

ケサディーヤ

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こちらは小麦粉で作ったタコス生地でチーズを挟んだ料理。こんがりパリッと焼いたケサディーヤを噛むと、中から塩味の効いたチーズがトロッと出てきます。ビールが飲みたい〜🍻🍻🍻

ピカロネス

写真を撮り忘れました。ペルー風ドーナツです🍩

かぼちゃとさつまいもを潰して作った記事はもっちもちに仕上がっており、蜂蜜だけをかけた素朴な味わいは優しい印象でした🎃🍠🍯

黒蜜をかけるイメージが強かったんですが、蜂蜜もイケてますね!

ソルーナに来たら外せない逸品

前も食べたけどまた頼んでしまいました「チチャロン(豚肉の揚げ焼き)」です。

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ここのチチャロンは沖縄のラフテーの製法と組み合わせているおかげで、めちゃくちゃ柔らかく仕上がっています。何度も食べたくなる看板商品です…!

ではでは、贅沢なおつまみと一緒に旅の話の続きといきましょう。

アレキパは魅力の詰まったコンパクトシティ

アレキパはカテドラル(教会)を中心に街が広がったかつてのペルーの首都です。教会の塀に沿って建てられた二階建ての廊下が美しく、レストランやショップが軒を連ねる景色は観光客の心を鷲掴みにするんだとか(写真を見せてもらいましたが、ライトアップもきれいでした✨)。アレキパは「地球から月が生まれる時に月が地上に置き忘れた街」とも言われ、シジャールという白い石灰岩によって造られた白い街並みが有名です。また、ペルーきっての美食の街とも言われ、多くの郷土食を育んだ魅力的な土地でもあります。

 

店長はアレキパ出身らしく、色々と現地情報を教えて頂けました!

街の中心のカテドラル(教会)の広場には、夜になると出店がずらり。アンティクーチョス(串焼き)やサチャパパス(フライドポテトとウィンナー)、ローストチキンなどの屋台が現れ、まるでお祭りのような様相に。クラブやバー、カラオケといった夜の娯楽も揃っていて足りない物はないと言えるほど。

昼間も教会の周辺にはレストランや民芸品がずらりと並んでおり、レストランにも困らないそう。カテドラルから数ブロック10分程度歩くとぐんと値段が安くなるので、買い物の際は少しだけ歩くのがおすすめ。ただし、お洒落な高級品は中心部にしかないのでそこで買いましょう。ショッピングモールなんかもあるそうで、ここでお土産を買うのが最もコスパがいいそうです。

スキミングにご用心

買い物にはお金が必要ですが、両替は注意しながら行う必要があります。というのも、個人商店なんかの前においてある両替機にはスキミングの機械が付けられているかもしれないからです。

「あなたがキャッシュカードを通した瞬間に内部の磁気情報が抜き取られて、いつの間にかカードでアルパカ200頭が決済されていた」

なんてことも起こりかねないのです。なので、ATMからお金を引き出す際は大きなお店の物を使うこと!空港以外では隠しカメラなんかもある可能性があるので、暗証番号を打ち込む際は手で隠しながらボタンを押すようにしましょう。

クスコへ行くならアレキパから

アレキパは美食がたんまりなだけでなく、クスコへの中継地としても優秀です。というのも、高山病のリスクを大きく減らせるからです。

マチュピチュのあるクスコへは、リマから直接フライトで行くコースが一般的ですが、このコースではほんの2時間足らずで海抜0mから3100mへと移動することになり、高山病の発症リスクが非常に高くなってしまいます。

一方で、リマからアレキパ(標高2100m)へのフライトであれば高山病にかかることはほとんどありません。ある程度、身体を高地に慣れさせてからクスコに行くのが良いでしょう。

とはいえ、2100mから3100mですら、飛行機で移動するとなると高山病リスクはまだまだあります。一番体に優しいのは、アレキパからクスコまで夜行バスを使うコース。これなら少しずつ身体を高地に適応できるので、ぐんと高山病リスクを下げることができます。ただし、途中に標高4000m級の山を越えるのでこまめに水分を摂るように心がけましょう。

さらに気を使うなら、標高が高くなるポイントで起きておくことでしょう。眠ったまま高いところに行くのも身体の適応が遅れて高山病にかかりやすくなるそうなので爆睡にだけは注意しましょう。

高山病を防ぐためのポイントは

  1. 一気に標高を上げない
  2. 水をこまめに摂る
  3. 眠ったまま標高を上げない

です。お気をつけて!

 

余談ですが、料理やお土産の面でもアレキパを経由するメリットがあります。

というのも、アレキパ人からするとクスコの料理はそんなに美味しくないそうです(標高が高い分、火力に制限があるからかな?植生も少なく手に入る食材も限られていたために料理技術が発達しなかったのかも)。もちろんアレキパにはないお粥のような郷土料理があったりはするのですが、クオリティは今ひとつとのこと。観光街ゆえ物価も高いのを考えると、食の都アレキパでお腹を満足させてから行くのが良いのかも。そもそもクスコの目玉は遺跡ですもんね。

(「どうしてもクスコでうまいもんが食べたい!」という場合は、高級レストランに行く以外に、料理教室に行ってみるという手もあります!)

 

 

おまけ:フレンドファンディングについて

他にも空港で気をつけることやら料理のことやら本色々なお話を伺えました。多分隣で聴いてた先輩をペルーに連れて行っても大丈夫なくらいでしょう(笑) 

ちなみに、アレキパの旅程相談の時に「実はまだパスポートすら取れてなくて…」みたいな話をした時に、さすがにコイツは心配だ、と思わはったんでしょう。幸いにも店長さんのアレキパ帰省の時期と私の旅程が近かったこともあって、親戚のお家に泊めて頂けることになりました。この厚意には感謝してもしきれません…泣

お土産は京都の日持ちのするお菓子かなぁ。日本酒なんかもありかもしれない。少しでも感謝の気持ちが伝わるものにしよう。

 

さて、先日から告知してきたフレンドファンディングの有効期間も残り5日となりました。皆様の支援のおかげで目標金額の5万円にずいぶん近づきました。

フレンドファンディングといいソルーナの店長の助けといい、いろいろな人に支えられ生かされている感覚を最近強く感じます。高校時代に部活で「支えてくれた方々の感謝を忘れず…」なんていうセリフをよく使いましたが、生活すること自体の過酷さや苦労を知って初めて、そういう「支え」のありがたさをひしひしと感じられるようになりました。

相変わらず、修論執筆やら引越しやら渡秘準備の合間にバイトを続けておりますゆえ、少しでも支援いただけると幸いです。

↓フレンドファンディングのリンクはこちら

polca.jp

旅程についてもおおよそ固まりました!5日後のフレンドファンディング終了後に必要資金などを全て計算してブログに投稿したいと思います。 

それではまたの更新をお楽しみに。お読みいただきありがとうございました。