チューニョとは?アンデスの昔ながらの料理方法とアレンジレシピ
昨日、大阪のペルー料理店『ロス・インカス』で晩御飯をいただき、会計後に店長と一緒にタブレットを見ながら「こんな料理があるんですね~」と、チューニョの使い方を教わりました。
店長は、次第に故郷のペルーが懐かしくなったのか、レストランで出されるような料理のみならず、「おばあちゃんが作ってくれたチューニョの料理」や「家庭料理」まで教えてくれました。この記憶が新しいうちに作らねば…!
ということで、今回は、チューニョを使ったペルー料理の作り方やを紹介します。
アンデスの知恵:チューニョの作り方
「というかチューニョって何?」
チューニョそのものの性質を知っていなければ美味しい料理は作れません。
まずは見た目から確認しましょう。
チューニョはいわば乾燥ポテトで、石のようにゴロゴロした保存食品です。
匂いを嗅いでみると、干し椎茸や切り干し大根のような独特なひなた臭さがあります。
チューニョの特筆すべき点はその作り方。なんと、凍結乾燥でつくられるのです。
チューニョは赤道付近の標高3000m以上のアンデスの高地で作られます。
そこは、夜はすごく冷え込んで外のものが凍ってしまう氷点下になる一方、昼間はからっと晴れてぽかぽかするという特殊な気候です。
そんな環境にイモを放っておけば、夜に凍り、昼に溶け、また夜に凍り…
というプロセスを何度も繰り返し、内部の水分が組織を破ってぶよぶよになります。
これを脱水して干したもの。それがチューニョです。
ジャガイモは水分が多く保存に不向きと言われますが、このように凍結乾燥してやればなんと数年間は保つというから驚き。
こういった保存食が、インカ帝国の繁栄を支えたのでしょう。
そう考えるとチューニョ独特のひなたくささにも、歴史を感じますね。
※チューニョの作り方は、非常に深~い科学と関連しているので別に記事を書きます。
チューニョの料理方法
チューニョは干し椎茸と全く一緒で、一晩水に浸けてから料理に使います。
豆のように吸水して大きくなったりはせず、そのサイズのままぶよぶよになりますが、大きいものだと中央部分が固いままだったりします。そういう場合は、小さく切ってから水に浸けるか、長時間茹でるかしましょう。
ではレシピを紹介します!
ラワデチューニョ(Lawa de chuño)
材料4人分
牛肉:200g
トウモロコシ:1本
人参:1/3本
ジャガイモ:1個
玉ねぎ:1/4個
ミックスビーンズ:50g
チューニョ:4個
コリアンダー:1把
オレガノ:小さじ1/2
コンソメスープ:700mL
レシピ
チューニョは高地の食材ということもあり、一般家庭では胃に優しく消化に良いスープにして食べられます。これはその中でも最も有名な料理です。
チューニョを叩き潰すことで細胞壁が破れてでんぷんが流出し、加熱時をすることで片栗粉を入れた時のようなとろみがつくようになります。
店長の思い出の味:おばあちゃんの料理
レシピ
店長が子供の頃に、おばあちゃんによく作ってもらっていたという料理。これが大好きだったそうな。
全く同じように作って食べてみたものの、あまりに素朴で、正直なところ「これがおいしいの?」と感じました。私がチューニョの匂いになれてなかったからか、チーズが南米風フレッシュチーズに劣っていたのか…?
いずれにせよ、いろいろな食材にありふれた贅沢生活の出来る日本でウケる味ではありません。これは「欲求としての食」ではなく「必要としての食」。
30年近く前のペルーとなると、そうそう贅沢はできなかったはずです。そんな中、店長のおばあちゃんがせっせと調理して食べさせてくれたのでしょう。きっと、おばあちゃんの愛情という最高の隠し味が入っていたはずです。
同じ山岳系のペルーにもその調理法が料理と共に伝わっています。
アレンジ:簡単南米風マーボー豆腐
材料3~4人前
豆腐:450g
牛ひき肉:300g
長ネギ:1本
鶏ガラスープ:400mL
チューニョ:2個
パンカペッパーペースト:大さじ2
醤油:大さじ1
砂糖:小さじ2
山椒:小さじ1
レシピ
- 豆腐を切って500mLの湯で茹でる
- 豆腐を取り出して置き、そのゆで汁に鶏がらスープの素と細かく刻んだあとに軽くつぶしたチューニョを加え、10分間茹でる
- 別の鍋に油を大さじ3程度しき、ミンチとみじん切りにした長ネギをよく炒め、パンカペッパー、山椒を入れて一様になるまで混ぜる
- スープをチューニョごと入れて鍋肌の旨味をこそげ取る
- 醤油と砂糖を入れて調味(仕上げに花椒や一味を入れても良い)
マーボー豆腐を本格的に作ろうとすると、豆板醤、甜面醤、豆鼓(大豆を丸ごと発酵させたもの)、ラー油、紹興酒、カイエンペッパーなど、たくさんの食材が必要になります。構成要素は旨味(豆板醤・甜面醤)+辛さ(豆板醤・カイエンペッパー)+癖のあるコク(豆鼓・紹興酒)であることに注目して、もっとシンプルにしてみました。
「辛さ+旨味」はパンカペッパー1つだけでカバーでき、「癖のあるコク」はチューニョでしょう。見た目的にも豆鼓と似ているからばっちり(笑)
さらに、チューニョをつぶしてやることでとろみもつくから、片栗粉をわざわざ足す必要もありません。
味も山椒のおかげで中華らしくまとまっており、個人的にはすごく合理的なレシピができたなと満足です。
これ以外にももっといろんな使い方が見つかるはず。
まとめると、チューニョは「片栗粉と豆鼓の中間」といったところでしょうか?
結構くせがあるので使いどころを選びますが、はまれば一気に料理工程が楽になります。また面白いレシピが見つかったら投稿します!
今日出てきた食材は下記をご参照ください。