旬彩もろきち

料理研究家や料理人、料理を愛する人のために、食の魅力や食文化の知識を発信します。また、飲食店経営のための経営学的知識や、ワンランク上の料理をするための科学的知識もあわせて紹介します。

ぽってりかわいいペルー料理『ロコト・レジェーノ(Rocoto relleno)』

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こんにちは、morokitchです!今日は、ロコトを使った料理を紹介します。

 

ずんぐりむっくりした見た目が可愛らしいですが、その正体は泣く子も辛くて泣けなくなるほどの激辛唐辛子。

どれくらい辛いかという議論ではよく「スコヴィル値」という数値が使われます。

ピーマンは0、タバスコは1200~1800、鷹の爪は4~5万、もっというと、市場で最強の催涙スプレーが18万くらいです。どうですか?イメージできましたか?

 

それに対してロコトのスコヴィル値はなんと5~30万!

 

うーん、なんか数値やばいし辛そう!笑

 

まず、5~30万って幅広すぎますよね。これは、測定の精度が低すぎるのではなく、場所や熟成度によって辛さが変わるのです。

普通の唐辛子は、緑から黄色を経て赤まで熟し、次第に辛さを増していくことが知られているのですが、それに対してロコトは黄色い時期が一番辛いとのこと。また、同じ個体を見てみても、部位によって辛さが違います。最も辛味が弱いのは外皮で、次に辛いのが種を支える白いワタの部分。そして最も辛いのが種です。

 

しかもその種が特徴的。写真を見てみましょう。

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真っ赤で肉厚な果皮に潜む禍々しくも黒い種…。

唐辛子の種子はたいてい白か茶色で、黒いのは非常に珍しいそう。これを始めに食べてみようと思った人はきっとアンデス山脈の勇者だったのでしょう…。

それで火を噴いてなお食べるために試行錯誤したのですから、我々の先祖の食への執着には畏敬すら感じます。

 

では、そんなアンデスの勇者と伝道者たちが遺してくれた、かわいいロコトの攻略法を紹介します。

 

ロコトの下処理

そのままではとても食べられないので、辛さを抜きます。

  1. ロコトのヘタ部分を取り、ナイフを入れてワタを切り落として種を取り出す
  2. スプーンでワタがついていた部分をしごき落とす
  3. 鍋に1Lの水、砂糖を大さじ2、ロコトを加え火にかける
  4. 3~10分茹で、冷水にさらす

どうもペルーでは砂糖を加えるのが一般的なのですが、それが辛味に及ぼす影響は科学的に謎(はっきり言うと関係ない)。山本紀夫先生の著書『トウガラシの世界史』にもロコトの辛味抜きに関して言及がありましたが、そこでも「意味があるのか…?」という趣旨を述べていました。

なので、合理的に料理したい方は砂糖は入れなくてOKです。

湯で時間が3~10分としたのは好みの辛さに調節するためです。長時間茹でるほど辛味とピーマンっぽい青臭さが弱くなります。それでも辛いという方は10分茹でた後にお湯を捨て、再び水から茹でてやりましょう。

逆に「もっと辛いのがいい!」という方は、生でもOK。辛い物大好き大国ペルーでは、セビーチェに入れたりする人もいるそうですよ。

※しょうもない補足:ゆで汁味見してみたらものすごい辛くて笑いました

 

ではつづいてレシピの紹介です

 

ロコトレジェーノ(Rocoto relleno)のレシピ

 材料2個分f:id:morokitch:20191020064903j:image

ロコト:2個

ジャガイモ:2個

モッツァレラチーズ:1個

牛肉:50g

玉ねぎ:1/4

ニンニク:1片

醤油:小さじ2

酒:大さじ1

パンカペッパーペースト:大さじ2

茹で卵:1個

生卵:1個

牛乳:100mL

オリーブオイル:大さじ1

 

レシピ

  1. ロコトをヘタごと下処理し、一緒に卵とジャガイモを茹でておく
  2. フライパンに油(分量外)を敷き、細かく刻んだ牛肉を炒め、次いで、みじん切りにした玉ねぎとニンニク、パンカペッパーペーストもよく炒める
  3. 酒を入れて鍋肌の旨味をこそげ、仕上げに醤油と刻んだ茹で卵を入れて混ぜる
  4. ロコトに具を詰め、モッツァレラチーズをのせ、ヘタでふたをする
  5. ジャガイモスライスとモッツァレラチーズを交互に重ねてつまようじで固定する
  6. 卵と牛乳とオリーブオイルを混ぜて塩を一つまみ加えて混ぜる
  7. 4と5を耐熱皿に入れ、上から6をたっぷりかけて余熱なし200℃のオーブンで20分焼く

 

辛味を茹でこぼしてもやっぱり辛いものは辛いので、ジャガイモやチーズ、牛乳のようなまろやかな食材と掛け合わせるのが一般的です。ジャガイモベースのドゥフィノワーズ・グラタンを添えることが多いのですが、このレシピでは簡単のためそれにジャガイモタワーを作りました(味の構成はグラタンと同じです)。

また、チーズはモッツァレラチーズを用いましたが、南米風フレッシュチーズやカッテージチーズでもOK。オーブンがない場合は(全て火入れは済んでいるので)トースターを使っても構いません。

 

焦げ目をつけてかっこよくしたい場合はバーナーで炙るかオーブンに入れる時間を長くしてください(モッツァレラチーズ溶けによってヘタが落ちやすいので注意)

 

冒険心をくすぐるロコトレジェーノ。ぜひお試しください!

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 今日はこのブログにインスタ連携機能があることを知って、早速使ってみました。

こんな調子で料理投稿してるのでよかったら見に来てください~~